はるかの災難






1.女性専用車での遭遇

蒔田はるかは今年中高一貫の女子校に入学した中学一年生。華奢な身体と整ったかわいらしい顔立ちの少女だ。学校は自由な校風と礼節教育に力をいれていることで知られており、合格発表に自分の受験番号があった時にはたいそう感動したものだった。両親もいい学校に受かったと喜んでくれたが、通学の事を心配していた。それというのも学校には電車で30分ほどかかり、中学生になったとはいえ、まだ幼い娘が毎日長い時間をかけて電車通学をするのが気にかかっていたのだ。
「はるか、小学校は近所だったから、まわりは知っている人が多かったけれども、中学には電車でいくからね。電車はいろんな人が使うから気をつけてね。痴漢にあわないように、混んでる電車はさけるんですよ。」
「大丈夫よ、もう子供じゃないし女性専用車両にのるから。」
両親の心配をよそに、はるかは電車通学を楽しんでいた。『毎日電車に乗って学校に行く』、それは少女にとってちょっと大人になったと思える行為だった。女性専用車両もはるかが通学する時間は路線のラッシュ時間と重なってかなり混雑していたが、彼女にとっては満員電車も新しい体験で面白く感じていた。

電車通学を始めて二週間ほどたったある日、はるかはいつものように女性専用車両に乗り込んだ。車内はあいかわらず混雑していた。はるかは最初は混み具合に面食らったが、もうこんなものだと慣れていた。
しばらくすると電車は途中の駅についた。ここは複数の路線が乗り入れている乗り換え駅で、いつも多くの人が乗ってきていた。今日も沢山乗客が乗り込んできて、はるかは反対側のドア付近に押し流された。こちらのドアははるかが降りる駅では開くが、それまでの駅では開かない。だがはるかは自分が降りる駅では開くのであまり気にしていなかった。ドアが閉まり電車は駅を出た。加速が終って一定速度で走行しはじめると、線路のつなぎ目を超える時のガタンという音が規則正しく響く。はるかは最近この音を聞いていると、頭がぼんやりとすることが多かった。

(あれ?)
はるかが何か変な感触に気がついたのは駅を出てしばらくしてのことだった。おしりになにかが触れているようだった。
(電車が揺れて、あたるのかな?)
最初はるかは偶然なにかが当たっているのだろうと思った。だがおしりに感じる感触は次第にはっきりとしてきた。今ではおしりに手の甲を押し付けられているのがわかった。
(えっ、まさか痴漢?でもここ女性専用車両だからやっぱり偶然だよね)
同性愛の知識のないはるかには、女性が自分を触ってくることなど想像のしようもなかった。だがそうしているうちにも、おしりに押し付けている何者かは手を裏返し、今度は手のひらでおしりを揉み始めた。
(あたし、おしりを揉まれてる?やだ、でも、なんで?)
はるかはようやっと自分が痴漢されていることに気がついた。初めての痴漢に、痴漢が出るとは思っていなかった女性専用車両で遭遇したことで、はるかは混乱して何もできなかった。はるかがじっとしているのを確認したのか、痴漢は今度は両手ではるかのおしりを揉み始めた。小ぶりなはるかの尻肉を掴むと、ゆっくりと円を描くように動かしていた。
(やだ、やめてもらわなくちゃ。)
そう思うものの、はるかは萎縮して動けなかった。そうしているうちに、はじめは小さかった手の動きが、次第に大きくなっていった。はるかは自分のおしりが大きく広げられているような感じがして、胸の鼓動が速くなって行くのがわかった。だがそこで電車が次の駅に到着し、痴漢の手もはるかから離れた。
(やめてくれたのかな?)
一瞬そう思ったはるかだったが、次の瞬間まったくの勘違いであったことがわかった。駅で人が乗り込んできて、車内ではそれに押されて人と人の間隔が狭まった。その時はるかは下半身に違和感を感じた。
(えっ?なに?)
乗客が乗り込んでくるのに合わせて、痴漢ははるかのスカートの中に手をいれてきた。スカートは膝までの長さだったが痴漢はそれを捲り上げて、直接パンツに触ってきた。痴漢がはるかにピッタリとくっついて、周りからはわからないようにしていた。
(どうしよう)
はるかの不安をよそに、痴漢の手は再びおしりを触り始めていた。スカート越しの時よりもはっきりと手の感触が伝わってくる。しばらく揉んだあと、今度は指をおしりを這わせて円を描くようになぞりはじめた。ゆっくりと何度もなぞられているうちに、はるかはおしりにむず痒いような感覚が湧き上がってくるのを意識しはじめていた。
(なにこの感じは?)
痴漢がなぞるたびにその感覚は大きくなってきた。はるかは経験したことのない感覚に戸惑いながら、その感覚がおしりから全身に広がって行くのを感じていた。呼吸が速くなっていくのがわかった。
(いや、これやめてもらわないと、あたし)
はるかはドアにもたれかかる様にして、痴漢の愛撫に耐えていた。その様子を見ていたのか、痴漢ははるかのパンツに手をかけると、足の付け根まで引き摺り下ろすと、直接おしりを触りはじめた。指が直接肌をなぞり、はるかはこれまで以上にむず痒い感覚を覚えていた。そしてそれがだんだんと快感に変わって行きつつあった。
(もうこれ以上はだめ!)
はるかはこのまま触り続けられるが怖くなって、なんとか痴漢の愛撫から逃げようとした。だが車内は身動きができないほど混んできており、痴漢にドアに押し付けられているはるかにはどうしようもなかった。そうしている間にも痴漢は執拗にはるかのおしりをなで回していた。いまやおしりを痴漢の指がなぞるとゾクゾクした感覚を覚え、それが気持ちいいと感じていた。次第にはるかは下腹部が熱くなってくる感じを覚え、全身の力が抜けていくのがわかった。
不意に痴漢の手が離れ、スカートがもとに戻された。何でやめてくれたのか不思議に思ったはるかだったが、すぐに訳がわかった。電車は速度を落とすと駅に到着した。ここははるかが降りる駅で、こちらのドアが開くのだった。はるかはドアが開いたらすぐに外に走って逃げようと思った。
「夜10時」
ドアが開く直前、はるかは耳元にこう囁く声を聞いた。いままで萎縮して後ろを見ようとしなかったはるかだが、この言葉を聞いて思わず振り返った。そこには長身の20代後半と思われる美しい女性がいた。
(まさかこの人がいままであたしを触っていたの?)
よく顔を確認しようとした瞬間、電車のドアが開いた。ドアのすぐ側にいたはるかは、中から降りる人に押されるようにして電車から降りた。ささやいてきた女性も降りると、足早にホームの階段を降りていった。はるかは女性を追いかけようとしたが、パンツが足の付根まで降ろされたままだったので素早く動けなかった。そしてもたもたしているうちに女性の姿を見失ってしまった。
(あの人が痴漢だったのかしら?あの言葉はなに?)
はるかは今起こったことを整理しようとしたが、あまりにもわからないことが多過ぎた。

2.夜に自分で

「ふう」
はるかはお風呂から出てパジャマを着て自室のベッドに座ると、今日の出来事を思い出していた。電車から降りたあとトイレにいってパンツをなおすとそのまま学校に行き、普通に授業を受け帰ってきた。帰りの電車でまたあの女性に合わないか心配したが、それらしい人はいなかった。
「やっぱり朝のは痴漢されてたんだよね」
ネットで検索して同性愛というものがあることはわかったが、はるかには実感がわいていなかった。
「最後にいっていた夜10時ってのはなにかしら。まさか家にくるとかじゃないよね」
そんなことはないと思っていたが、すこし心配になったはるかは、ベッドに潜り込んで壁にある時計を見た。時計は9時55分を差していた。はるかはそのままじっと時計を見つめていたが、10時になっても誰もくる気配はなかった。
「気にしすぎだったみたい。あたしに向けて言ったのじゃないかもしれないし」
何も起きないことにほっとして目を閉じたはるかの脳裏に、不意に電車でおしりを撫で回されてきた感覚が蘇ってきた。はじめての痴漢経験を思い出してはるかの鼓動は速くなってきた。おしりに感じた気持ちよさも頭の中で再生され、どんどんその感覚は大きくなってきていた。
「えっ?」
何かがおかしいと思ったのはその時だった。なんだか思い出しているにしては、やけに感触が生々しいのだ。目を開けてみると、自分でおしりを触っているのに気がついた。
「あたし、勝手に。どうして?」
自分がなんでこんなことをしているか全くわからなかったが、すぐにやめようと思った。だが意思に反してはるかの手は動きを止めず、さらにおしりを撫で回していた。
「なんでやめられないの?こんなことすぐにやめなきゃいけないのに」
そう思うはるかだったが、手は意思とは関係なく動き続けていた。はるかの意思とは関係なく動く手はおしりをずっと揉み続け、次第にはるかは気持ち良さを感じはじめていた。だが自分で触ってそんなことになっていることを認めたくないので、必死でその気持ちを否定していた。
しかし手のほうはそうではなかった。自由には動かせない腕ははるかの身体の快感を感じ取ったのか、パジャマとパンツを下ろすと直接おしりを撫ではじめた。
「やだ、こんなこと」
はるかはやめようとしたが、身体に湧き上がってきている快感に、その抵抗も弱まってきていた。指が直接肌をなぞると、なぞられたところから快感が広がって行き全身が温かくなってきた。そしてとくに下腹部の、股間のまわりが熱くなってきているのがわかった。
「んっ」
身体中にあふれる心地よさに、はるかはついに抵抗するのをやめた。目を閉じておしりに意識を合わせ、自分の手の愛撫を感じようとしていた。手もそれに答えるように動き、さらに丁寧におしりを撫で回していた。

不意になにも感じなくなった。びっくりしたはるかは目を開けてみた。まだ身体に火照りは残っていたが、手はおしりから離れていた。ゆっくりと動かしてみると、ちゃんとはるかの思うとおり動かせた。
「終わった、の?」
安心すると同時に、少しだけ終わったのを残念に思う気持ちがあったことに気がついたはるかは、必死にそれを否定しようとした。
「違う。あたしはあんなこと好きじゃないし。ちょっと今は混乱してたからそんなこと考えちゃったのよ。」
赤面しながら、はるかはそう自分に言い聞かせた。

3.翌日の再会

翌日、昨日と同じ電車に乗るのは避けたかったはるかは、普段より早くに駅に向かった。駅に着くと丁度電車がやってきたが、いつもの電車より混んでいるようだった。
(混んでるけど、昨日の電車は乗りたくないしまあ仕方ないよね)
そう思ってはるかは電車に乗り込んだ。駅に止まる度に降りようとする乗客と乗り込んでくる乗客が人を押し分けることで、車内の位置がどんどん変わって行った。いつの間にかはるかは昨日と同じドアのそばに押しやられていた。ここからははるかが降りる駅までこちら側のドアは開かない。
(なんかやだな)
そう思っても車内は混雑していたのでどこにも動くことはできなかった。しばらくすると電車が一定速度になり、線路のつなぎ目を越える音が定期的に響いてくる。はるかはやはり思考がぼんやりとしてきた。
「こんにちは、昨日の夜は楽しんでもらえた?」
とつぜんはるかの耳に誰かがそう囁いた。はるかはびっくりして体をこわばらせた。少しだけ振り向いてみると、後ろに昨日降りる時に見かけたあの女性がいた。
「な、なんのことですか?」
はるかは怯えながらも小声で聞き返した。
「知らないとは言わせないわよ。あなた、自分で自分のおしりをいじったんでしょ?」
「えっ?」
はるかは思わず声を上げてしまった。まさか昨日の夜のことを覗かれていたのかと考えたが、はるかの部屋はマンションの5階だ。それにちゃんと窓のカーテンも閉めていた。そんなことが出来るとは思えなかった。
「不思議に思っているみたいね。訳を教えてあげるわ」
後ろの女性は電車の揺れに合わせるようにして、はるかに密着してきた。
「後催眠暗示って知っているかしら?私はあなたに催眠をかけてある命令をしたの。あなたはその命令を思い出すことはできないけれど、命令通りの行動をしてしまうのよ。」
「あたし催眠なんかにかかったことないです」
「それは忘れるように命令していたからよ。あなたは覚えていないけれど、この一週間毎日催眠をかけて、あなたが催眠にかかりやすいようにしてあげたんだから」
女性は拡声器のような形をした小さな機械を取り出してはるかに見せた。
「最近は便利な道具があるのよ。これはね、極低周波スピーカーっていって人の耳には聞こえない領域の音が出せるスピーカーなの。耳では聞こえなくても振動として身体には伝わるのよね。あなたの深層意識はそれを受け取って催眠に入っていったわ。もともと催眠にかかりやすい体質だったのかもね、数日で深い催眠状態になるようになってきたわ」
女性ははるかの耳元に顔を近づけてこう囁いてきた。
「まさか、そんなことが……」
はるかはまだ信じられなかった。その一方、そうであれば昨日の出来事も納得できる気がしていた。
「信じられない?じゃあ証拠を見せてあげる。さっきも言ったけれど、あなたには催眠状態でいくつか命令をだしてあるの。そのうちの一つに、わたしがあるフレーズを言ったら、あなたの身体は動かなくなってしまう、というのがあるわ。これは命令だから、あなたは必ず従ってしまうの。あなたが覚えていなくても、あなたの身体はちゃんと覚えているはずよ」
女性はここで一度口をつぐむと、はるかがいまの言葉を理解するのを待った。はるかは女性と目を合わせないように窓の外を見ていたが、催眠状態の時に自分にどんな命令があったかはわかったようだった。
「それじゃあいい?『可愛い子猫ちゃん』」
女性が発したその言葉を聞くと、はるかの身体は動かなくなってしまった。昨日のベッドで起きた事と同じだった。
「どう?身体が動かせなくなったでしょ?わたしが『可愛い子猫ちゃん』と言うと、あなたは身体が動かせなくなってしまうの。催眠状態の時にした命令だから、逆らうことはできないのよ」
そう囁くと、女性ははるかのスカートのポケットに手を入れてきた。そして小さく布が破ける音が聞こえたようだ。
(なにをしてるのかしら?)
身体が動かせないはるかは、窓の外を見ながら女性がなにをしているのかを考えていた。女性は一度手をポケットから出したかと思ったら、またすぐに入れてきた。
「じゃあ、また気持ち良くなりましょうね」
そう言われたはるかはまたおしりを触られるのを予期して身構えた。だが女性が触ってきたのは別の場所だった。
「えっ?」
ふとももに手の感触を感じて、はるかは思わず声を上げた。女性はスカートのポケットを破いて、そこから手をいれてはるかのふとももを触っているようだ。指がはるかのももの内側をつーっとなぞる。なぞられたところにゾクッとした感覚を覚える。女性ははるかの表情を見ながら、ふとももを下から脚の付け根に向かって何度もなぞった。なぞられる度に、はるかは身体に快感が溜まってくるのを感じていた。その表情を確認すると、女性はなぞる指の数を増やし、指の数に比例して、はるかの快感も増加していった。はるかは下腹部が熱くなっていくのを感じ、思わず吐息がもれてしまった。
「そろそろいいかしらね」
そういうと、女性はパンツの上からはるかの割れ目に沿って指をゆっくりと這わせた。
「ひゃっ」
それまでの愛撫で快感があつまっていた秘所をいきなり触られて、はるかは声を抑えることができなかった。幸いまわりの誰も気にしていないようだった。
「湿ってるわよ?気持ちいいのね」
「えっ、そんな」
はるかは自分の身体に起こっている変化がわからなかった。知識として興奮するとあそこが濡れるということはわかっていたが、経験するのはまだ先のことだと思っていた。
「あら否定するの?じゃあこうしたらわかってもらえるかしら」
女性は再び指をはるかの割れ目にあてがうと、やや強く押しながら前後に動かした。パンツの布が割れ目の中に食い込んで、はるかの愛液を吸い取りぬちゃっとした水音が小さく響く。その感覚ではるかは股間が濡れているのをはっきりと意識してしまった。パンツの柔らかい生地で敏感な箇所をこすられたので、同時に快感も股間に湧き上がる。
「あふぅ」
耐えきれずに声がまた出てしまった。
「可愛い声ね。もっと聞かせて欲しいわ」
女性ははるかの割れ目を指で何度もこすりあげる。その度に股間から湧き上がってくる快感にはるかは必死に耐えていた。だが耐えれば耐えるほど、逆に快感は高まっていった。割れ目の奥がとても熱くなってきて、あそこがさらに濡れていくのがわかった。はるかは指で割れ目をこすられる時に、特に敏感な箇所が自分の股間にあることに気がついた。我慢しようとしても、そこを撫でられるとどうしようもなくなって身体がビクッとしてしまうのだった。
「クリトリスがお気に入りみたいね」
女性ははるかのその変化を見逃さなかった。はるかが思った割れ目の中の敏感な箇所、はるかのクリトリスの位置をパンツの上から確かめると、指を当てて細かく振動させた。
「んぐっ」
一番敏感なところを一気に刺激されて、はるかの我慢も限界に達しようとしていた。クリトリスを中心とした股間がとても気持ち良く、そこからくる快感が全身に広がり、はるかは我を忘れそうになっていた。身体に広がっていく快感に支配されて、もう何も考えられなくなっていた。何かが下腹部に溜まってきていて、もう少しで爆発してしまいそうだった。
不意にはるかの股間から女性の手が離れ、肩を軽く叩かれた。
「はい、身体はまた動くようになるわ」
そう言われて、はるかは体が動かせることがわかった。ほっとしたが、その反面もうちょっとで届きそうだったなにかがわからなくなってしまったことを残念に思っていることにはるかは気がついた。
(なにを考えているの、あたし。ようやくやめてもらえたのに)
外を見てみると、電車ははるかが降りる駅に入ってきたところだった。電車の速度はだんだんと落ちてきて、ついには止まった。
「朝9時」
ドアが開く瞬間、女性がはるかの耳元でささやいた。ドアが開くとおりようとする乗客に押されてはるかは外に出た。外に出たらすぐに逃げようと思っていたはるかだったが、ずっと快感に耐えていたからか、脚に力がはいらずにふらふらとしてしまった。その間に女性はどこかに行ってしまっていた。
はるかは女性が残した言葉が気になりながらも、学校に向かった。

4.教室で……

学校について授業が始まると、はるかはそちらに集中しようとした。今朝の事は忘れてしまいたかったので、考えないようにしたかったのだ。だがどうしても最後の言葉が気になってしまい、上手くいかなかった。
(あの人、9時って言ってた。なんなのかしら。たしか昨日も時間を言われた気がしたけど)
そこで昨日の出来事を思い出して、はるかはある考えに思い当たった。
(昨日は10時って言われて、その時間になったらあたし自分で……。まさか今度も?)
時計を見るとあと少しで9時になる。このままではまた自分でおしりを触ってしまうのかもしれない、そう思うとはるかはこわくなってきた。
(そんなことあるはずはないよね。でもさっきはあの人の言葉を聞いただけで身体が動かなくなっちゃったし……)
はるかが悩んでいる中、時刻は9時になった。だがはるかが自分のおしりを触ることはなかった。
「うそ……」
はるかの右手が勝手にスカートのポケットの中に入っていった。ポケットには女性があけた穴があり、そこをくぐって手は太ももに達した。そしてはるかの右手は彼女の意思に関係なくももの内側を撫ではじめた。女性にされたように下から股間に向けてゆっくりと撫で上げていく。指になぞられる事に、内ももから快感が沸き上がってくるのがわかった。
(こんなことやめなきゃ。教室で変なことしちゃだめ)
はるかの席は右側のいちばん後ろだったので、他の生徒から見つかる心配は少ないが見つかったらどうなるかわからない。はるかは右手を止めようと思ったが、感覚はあるものの自由には動かせず、快感を得るためだけには動かせた。左手はある程度自由に動かせるようだが、右手を止めようとする動きは出来なかった。はるかが試行錯誤している間にも、右手は勝手に内ももをさすったりなぞったりして気持ちよさを盛んに発生させていた。朝の快感の記憶がそれによって引き起こされて、また全身に広がってきているようだ。はるかはよみがえる快楽に必死に耐えていると、右手がふとももを触るのをやめた。
「ふぅ」
ほっとしたはるかが小さく息を吐いた途端、右手はパンツの上からはるかの割れ目をなではじめた。そして右手の感触からはるかはパンツが濡れているのを思い知らされた。
(わたし、濡れてる……)
自分で割れ目をいじって興奮して愛液を膣から垂れ流している。こんなことをはるかは認めたくなかった。
(これは朝あの人にいじられたから、そのときのよ)
そう思い込みたいはるかだったが、右手が割れ目を撫でれば撫でるほどパンツはどんどん濡れていった。右手は最初、割れ目全体をこするように動いていたが、はるかの興奮具合にあわせて次第にクリトリスを集中していじるような動きに変わっていった。
(そこは、だめ。気持よすぎる)
湧き上がってくる快感を、はるかは左手を噛んでなんとかしのいでいた。
しばらくパンツの上からクリトリスを攻めていた右手が触るのをやめ、そのまま上の方に動いていった。はるかはこのまま右手がスカートのポケットから出て行って欲しいと願った。だがもちろんそうはならなかった。右手はパンツの上部に来ると一瞬止まると、そこからパンツの中へと潜っていった。まだまばらで産毛のような陰毛の感触が右手を通じてはるかに伝わってくる。そのまま下に動いて割れ目に到達すると、人差し指と薬指で割れ目が開かれた。割れ目から伝わってくるぬちゃっとした感触にはるかはあらためて驚く。そして開いた割れ目の中のクリトリスを、中指がいじりはじめた。
「っ!」
はじめてクリトリスを直接触られて、その感触に全身がビクッとなる。声を出しそうになるのを手を噛んで必死に耐えた。中はパンツごしとは比べ物にならないほど愛液で濡れていた
(.あたしのここ、こんなにグチャグチャにぬれてるの?)
右手に伝わってくる愛液の感触にはるかは驚いた。これを知ってしまうと、もう自分が気持ち良くなってないと誤魔化すのは無理だった。右手は溢れ出る愛液をすくい取ってクリトリスへと塗りつけるようにしてこすっていた。その度に、今までとは比べ物にならないほどの快感が全身に広がっていく。触るたびにクリトリスが大きくなってきているのがわかった。はるかは机の上に倒れ込むようにして、左手を噛んでなんとか我慢しようとした。だが電車の中で感じた、あのなにかが爆発しそうな感じが、下腹部の割れ目の奥に溜まってきているのもわかっていた。右手はこんどはクリトリスを離れるとさらに下のほうに動いた。人差し指と中指で割れ目を開いたまま、中指を中心付近で円を描くように動かしている。
(え、まさか?)
はるかは中指がなにをしようとしているのか、わかってしまった。中指ははるかの膣を見つけると、その入口をじっとりと撫で回した。円を描くように撫で回して、だんだんと膣穴を広げようとしているようだった。
(それはだめ!)
中に入られてしまうかもしれないという恐怖で、はるかは必死に右手を止めようとした。その思いが通じたのか、中指はそれ以上の事はせずに動きを止めた。
「ふぅ……」
はるかは安心して緊張が緩んだ。だがその時、右手の人差し指と中指がクリトリスを挟むと激しく振動した。不意をつかれて、はるかは襲ってくる快感を我慢する事ができず、その衝撃で下腹部に溜まっていた快感が爆発して全身に広がった。
「あふ、ん……いぃ。んふ……あぉぉあ」
全身に広がる快感ではるかは目の前が真っ白になった。声を出さないようにがんばっていたのだが、こらえきれずに少し声が漏れてしまった。周りに聞かれてしまったかもしれないが、今のはるかにはそんな事を気にする余裕はなかった。そのまま力が抜けてしまい、そのまま机の上に横たわってしまった。

「……蒔田さん、蒔田さん。大丈夫?」
はるかはどこか遠くから自分を呼んでいる声を聞いた。まだ頭がはっきりしない中、ゆっくりと目を開けて見ると隣の席の女子がはるかをじっと見て声をかけてきていた。
(まさか、さっきの見られてた?)
変な事をしているところを見られたのではないかと、はるかは不安になった。
「具合悪いの?顔が赤いし、さっきは苦しそうな声をだしてたけど」
どうやら具合が悪いと思っているだけのようだったのではるかは安心した。
「あ、うん。ちょっと調子悪いかも。先生に言って保健室にいかせてもらうわ」
ここにいてまたなにかあったら、今度は隠しきれない、そう思ったはるかは具合が悪い事にして保健室へと向かった。

5.保健室にて

はるかは保健室の扉を開けて中に入った。扉と反対側に机があり、そこに保険医の先生がこちらに背を向けて座っていた。左手にはベッドが二つあったが、今は誰も使っていなかった。
「失礼します。具合が悪いのでちょっと休ませてください」
はるかは保険医にそう声をかけた。
「廊下側のベッドを使って」
保険医ははるかのほうを見ずにそう答えた。はるかはその声に従ってベッドに横になり目を閉じた。しばらくすると足音がはるかのほうに近づいてきた。疲れていたはるかは目を閉じたままその音を聞いていた。保険医が調子を見にきたのだろう。ベッドのそばまできたのが目を閉じたままでもなんとなくわかった。
「可愛い子猫ちゃん」
保険医が発した言葉を聞いて、はるかは思わず目を開けた。そこには電車であったあの女性が白衣を着て立っていた。
「えっ?どうして?」
「あら、言ってなかったかしら、わたしこの学校の保険医なのよ。授業中に自分で触ってどうだったかしら?」
「そんな事……」
はるかは消えそうな声で反論しようとするが、女性はそれを遮るように言葉を続けた。
「わたしが時間を言うと、あなたはその直前にされていたエッチな事を、言われた時間に自分で試す。これもあなたにした命令よ。難しい命令だけど、きっとできたわよね。確かめさせてね」
そして保険医ははるかのスカートをめくりあげた。はるかは抵抗しようと思ったが、身体が動かなかった。
「可愛い子猫ちゃん、この言葉を聞くと身体が動かなくなる。こっちの命令にもちゃんと従ってくれてるわね。偉いわ」
そう言いながら剥き出しになったはるかのパンツを触ってきた。押し付ける様にして指で割れ目を撫でる。
「あっ……いや」
まだ先ほどの余韻で敏感になっている箇所を触られてはるかは声をあげる。もう我慢することもできなくなっていた。
「すごいわね、こんなにパンツぐちょぐちょにする子、なかなかいないわよ。すごーく気持良くなってたのね。いくら命令とはいっても、他のみんなが勉強している教室でオナニーしちゃうなんて、あなたすごくエッチなのね」
その言葉を聞いて、ただでさえ興奮で赤くなっていたはるかの顔がさらに真っ赤になった。保険医はパンツを足の付根まで下ろしてはるかの下半身を露出させた。うっすらと恥毛が生えているが、割れ目が隠れるほどではない。指で割れ目を広げると、溢れている愛液をすくってクリトリスを直接いじりだした。
「ちゃんと命令を守ってくれたあなたには、ご褒美をあげなきゃね。そうね、もっと深い催眠をかけてあげるわ。わたしの命令に従うエッチなお人形になるように、意識の奥底に刻み込んであげる」
「あ……んふ、いい……」
はるかは襲ってくる快感に飲まれ、もうなにも考えられなかった。
「卒業までいっぱい楽しみましょうね」
そう言って保険医は微笑んだ。






























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